
5JUN.
旧甲州街道の旅ー中央本線の一番列車に三鷹から乗ってみる(その1)
旧東海道の旅は、できるだけ日帰り旅で戻ってくる区間を西へ伸ばすため、静岡県の大井川った先にある金谷宿までは、東海道本線の下り一番列車(品川発4時35分)を活用しました。並行する東海道新幹線のダイヤがのぞみ、ひかり中心で、こだま号の一番列車は遅く(東京発6時30分)静岡まで追いつかない、つまり掛川以西でないと、時間的なメリットがないということもありましたが、往復の旅費を節約するためにも、できるだけ在来線を利用することが大切でした。時間的、経済的な利点以外にも、在来線を利用する意義はあります。在来線は、その地域の生活を乗せていますから、その地域の朝早い電車に乗ることによって、平日なら通勤通学をはじめとする人の流れが分かりますし、各駅停車ですから、ドアが開くたびに外の空気が入ってまいります。西へと向かう東海道本線の場合、どこから桜が咲き始めるか、蝉の鳴き声が聞こえ出すかなど、季節を感じさせてくれることもありました。それに、相模川、酒匂川、富士川、安倍川、大井川など河川の様子や、丹沢から箱根の山々、静浦山地、愛鷹山や富士山などをじっくり眺めることができるのも、在来線鈍行の楽しみです。さらに、駅名は宿場と同様の箇所(品川、川崎、保土ケ谷、戸塚、藤沢、平塚、大磯、二宮、小田原、三島、沼津、原、吉原、蒲原、由比、藤枝、島田、金谷など)が多々あり、旧東海道と橋桁や踏切などで交差する地点も複数あり、これまで自分で歩みをすすめてきた旅のおさらいができるという、沿道をより一層深く理解できる美点があるのでした。教科書の目次を覚えたり、進んでいるところまでの反復学習をしたりと、ちょっと教科書を学ぶのに似ています。しかし、街道には様々な歴史が積み重なっていますから、それこそ尺取虫方式の旅ならではの楽しみ方なのだと思います。これは街道が変わって旧甲州街道になっても全く変わりません。いや、並行する高速鉄道の存在せず、時間と労力をとられる山越えが連続する旧甲州街道の方こそ、在来線の一番列車を利用して、いかに早い時間に前回旅を切り上げた地点に朝早く到着するかが大事になってきます。しかし、横浜市内に住む自分にとっては、「中央本線の一番列車」というところが問題になります。東海道本線の一番列車であれば、家からブロンプトンで15分ほど走ったところにある新川崎駅から横須賀線の一番列車に乗車し、戸塚駅でお向かいのホームにとまっている東海道本線に乗ればOKでした。中央本線で似たようなことをしようとすれば、同じく家からブロンプトンで15分ほどの距離にある武蔵中原駅から南武線の立川行き下り一番列車(4時43分発)に乗り、立川駅(5時24分着)で中央本線に乗り換えるわけですが、この場合平日なら1分の乗継ぎで大月行き(5時25分発)に乗り継げるのですが、平日は同列車が5時23分発のため乗り継げず、次の快速で高尾までいって、29分も待った後、6時15分発の松本行きに乗らねば、大月以西には行けません。それに、平日の立川で間に合う列車でも、大月発下りは二番列車になり、土休日の松本行きは三番列車になります。南武線には、登戸発の下り一番列車(4時40分発)もあります。家から40分ブロンプトンで走って、この列車に乗ったとしても、立川到着は5時8分で、平日休日関係なく4時56分に立川を出る中央本線下り一番列車には12分届きません。つまり、南武線を利用する限り、中央本線の一番列車には乗れないのです。では、八王子乗換の横浜線はどうでしょう。八王子発5時7分の中央本線一番列車に届く横浜線の下り一番列車は、橋本発4時46分八王子着4時57分の一本だけです。町田発、東神奈川発の下り一番列車は全然間に合いません。橋本まで自宅からブロンプトンで走っていったら、距離にして32km、2時間11分かかります。ということは、家を出るのは午前2時20分頃でないと間に合いません。しかもアップダウンの多い道で、多摩丘陵の奥へ行けば行くほど、坂も急になってゆきます。中央本線の一番列車を捕まえるために、そこまでやるかという感じです。そもそもこの中央本線下り一番列車は、三鷹駅4時39分始発です。たしか中野電車区が廃止される2024年のダイヤ改正までは、中野駅始発でした。たしか中野4時24分発だったと記憶しています。この始発列車に乗ると、高尾、大月、甲府、塩尻、中津川と、5回乗り継げば、各駅停車だけで名古屋に12時17分に着きます。一方、東海道本線経由の場合は4時35分に品川を出れば、熱海、沼津(または島田)、浜松、豊橋と4回乗り継いで、名古屋には10時43分に着きます。つまり中野発の方が数分はやいものの、鈍行だけの旅であれば、東海道本線回りの方が中央本線回りより30分以上はやく着きます。しかし、乗り鉄からすれば、街中を走ることの多い東海道本線よりも、山が眺められる中央本線をゆき、普段滅多に乗ることのない中央西線(塩尻~名古屋間)に乗れるという特典がついてきます。冬なら雪景色の車窓も楽しめるし、塩尻では山賊焼き、中津川では木曽路釜飯や栗おこわなどの名物弁当が購入できます。私は旧街道の旅以前に、青春18きっぷの活用方法として、この中央本線一番列車に着目していました。しかし、中野駅に4時過ぎにブロンプトンで到着するには、自宅から丸子橋を渡って環七の内側を北上し、23km1時間40分をブロンプトンで深夜に走らねばなりません。間に合うように家を出るためには、遅くとも午前2時50分に家を出なければなりません。新川崎駅まで15分走ればいいのとはわけが違います。これは東京から北方向、つまり上野発高崎線、宇都宮線、常磐線の始発に乗るために、蒲田駅京浜東北線北行き始発(4時22分発)に乗るよりも、自分にとっては大変です。日吉の自宅から蒲田までは10.3km45分ですから、午前3時半にブロンプトンで出れば、間に合います。上述のように、現在は三鷹4時39分発になりました。三鷹までは、自宅から二子橋を渡って仙川あたりを遡ること22.4km1時間35分かかりますから、3時ちょうどに出てぎりぎりというところです。有利になったとすれば、中野よりちょっと近くなったのと、途中の信号の数が減ったことくらいです。3時に家を出るのなら、2時半には起きなければなりません。それではもう、早起きの次元を越えています。6時間睡眠を取ろうと思ったら、20時半には就寝せねばなりません。私は似たような距離を走って始発に乗ろうと、真冬の深夜に御茶ノ水駅までブロンプトンで走ったことがあります。初日の出ではないのですが、東海上から昇る朝日を見ようと、東京から東方向は総武線御茶ノ水駅4時29分発千葉行きに乗って津田沼で総武快速線上総一ノ宮行きに乗り換えるのですが、御茶ノ水4時29分に乗るのに、23.3km1時間40分かかるので、家を午前2時50分に出て自転車で都心まで走りました。深夜の都心をブロンプトンで駆け抜けるのは、それはスリリングな経験でした。こんな風に始発電車に凝っていたので、御茶ノ水(東)、品川(南)、中野(現在は三鷹、西)、蒲田(北)と、都心からどの方向にしても一番列車をつかまえるのにもっとも有利な居住地はどのあたりかと計算したことがあります。蒲田(は品川~新橋間でつかまえればよいとして)を除き、どの駅にも近いのは、代々木から恵比寿あたりの山手線沿いに住んでいれば、どこでもブロンプトンで1時間以内に到達できると計算したことがあります。だから、渋谷の漫画喫茶とか、カプセルホテルで仮眠をとって、これらの電車に乗るというのも、ひとつの方法だと思います。(自分はカプセルホテルに前泊するくらいなら、自宅からブロンプトンで走ります。)そんなわけで、3時ちょうどに家をでなければならない、三鷹からの一番列車は、私が旧甲州街道をメインに行き来するようになってからは特に、やってみたい気持ちは募っても、「寝坊」「駅まで遠すぎる」などのリスクが大きくて、なかなか実行に移せないできました。もし間に合いそうになかったら途中タクシーを利用して時短をはかるということも考えてはみましたが、その時間帯のタクシー料金は深夜料金の2割増しです。それなら、前の日の夜に甲府や韮崎、富士見にいって前泊して、翌朝早朝から旧街道を走った方が、寝不足にもならないし、健康には良さそうだと考えていました。ところが、先日「挑戦してみようかな」と思ったのです。チタンモデルが戻ってきて、思いがけなくはやく走れることがわかったことと、朝早く東京を発てば、それだけ早くに目的地に着いて旧甲州街道をじっくり走ることができるので、旧東海道のように新幹線がなくても、その日は目一杯旧甲州街道を走れるし、翌日も天気がもつようであれば、韮崎か甲府あたりに一泊すれば良いと考えたのです。結局、連休中の前日夕方に韮崎でビジネスホテルが空いていたので、1泊分の荷物を用意して、19時頃には就寝しました。なお、走る旧甲州街道の区間が韮崎よりも手前だったら、間違いなく日帰りにしていたと思います。という経緯をたどり、ゴールデンウィークのある中日、午前2時半に起床した私は、3時数分前に家をでます。これも、日常3時半には起きている自分だからこそできることで、かつて日常は7時起床、6時に起きたら早起きだった自分では決してできなかったと思います。「三鷹駅4時39分発」そのことだけを念頭に置いてブロンプトンのサドルにまたがり、家のすぐ裏にある坂道をのぼって、多摩川の河岸段丘を駆け下ります。まずは二子橋を渡るべく、自宅からの最短ルートを走るのですが、さすがにこの時間はバス通りも車は殆ど走ってはおりません。いつも通り、路地裏を駆使して最も距離の短いルートをとるか、車で走るように溝の口駅までバス通りをなぞり、そこから東急田園都市線に沿っている旧大山街道を辿って二子橋に出るか迷ったのですが、夜中であっても信号機が動いていれば守らねばなりませんから、信号機の少ない方で、しかも距離が短い前者を採用しました。途中、24時間営業しているタクシーの営業所前を通過して、チラリと「ここなら運転手さんたちが待機休息しているから、こんな時間でも乗車できる」と思いながら、間に合うのだから大丈夫とペダルを漕ぎます。家を出てから15分後には、第三京浜川崎インターチェンジ近くの踏切で南武線を渡り、22分後には二子橋を渡りました。家から二子玉川まで23分って、この時間であっても車と大差ないように思います。ブロンプトンで早朝に走る場合、距離が短いルートがもっともはやいように思います。これは路地裏を疾走しても、飛び出してくる自転車や歩行者がいないからだと思われます。次回は、二子橋から先の三鷹駅までのルートについて、選定から書きたいと思います。(その2に続く)

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