
6NOV.
半導体死亡、俺の個人情報は……
いやー、最近まじ相場終わってる!毎日毎日、お金が減って辛すぎる!明るい未来が一切見えません!!!ドカン!とヤバい下げを食らうことは去年も今年も何度もあったけど、こんなにず~~~と下がるばっかなの初めてかもしれん。個人投資家みんなそうかもしれないけど、それでも日経平均よりずっとマイナス食らってるから、やっぱ俺がヤバいんだわな。下落率1位の銘柄が、数日に1回、俺の保有銘柄になるの何でなん?保有の半導体株、全部ヤバすぎて天文学的含み損に。さらには、アメリカ株で唯一大量保有してるGoogleが大暴落したのも痛すぎる。インテルよりはマシかと思うけど。まさかこんなことになるなんて。数ヵ月前までの半導体青天井の相場時期は、ただ指を咥えて見てるだけで、いざ俺が「半導体を買い始めた」その瞬間がマジで天井になってしまった。あと、個人情報流出問題な。もう流出するものだと割り切るしかないんじゃね??パスワードって皆、使いまわしてる?まわしてない?自分は・・・・・・ぐふっ。覚えられねーよ。そんな何個も。もう何年も使ってないサイトから「個人情報が流出したのでパスワードを変えてください」って連絡が来るんだが、今更お前んとこの情報なんて変えても仕方がなくて、パスワードとアドレスが漏れたら一貫のお終いじゃんって思う。あとそのメール自体がフィッシングの可能性もあって、もう訳わからんね。「銀行」と「証券」以外で完全新規パスワードを設定しないといけないサイト、他に何かあるか?今後も大変なニュースに発展していくでしょうね。終わりだよ、この世界。AIが全てを終わらせる。

【マカロンさんのひとりごと】さむ………
第6話 自責
手紙を書き終えたテリィは、最初から読み返した。事故のこと。スザナが自分を庇ったこと。病院へ運ばれ、片脚を切断したこと。書いた文字を目で追うたび、彼女が布団を引き寄せた姿が浮かんだ。最後には、今も治療が続いていると書いた。自分は稽古の合間に見舞いへ行っていることも。だが、キャンディに会いたいとは、まだ書いていなかった。彼女がここにいてくれたら、と思う。声を聞き、名前を呼ばれたい。何を話すか考えられなくても、顔を見たい。けれど、スザナのことを書いたあとへ、その言葉を続けてよいのか分からなかった。彼女の怪我を知らせるための手紙が、自分を慰めてもらうためのものになる気がした。テリィはペンを取った。しばらく迷い、空いていた行へ書き足す。――きみに話したいことが、たくさんある。その先は、書けなかった。翌日の昼過ぎ、稽古に短い休みが入った。テリィは劇場を出て、通りの角のポストへ向かい、封筒を投函した。*病院へ着くと、病室の前にマーロウ夫人が立っていた。腕に、小さな包みを抱えている。中から、写真台紙の角がのぞいていた。テリィを見ると、夫人は一度病室を振り返った。「今、少し……」言いかけて、口を閉じる。彼は足を止めた。「具合が悪いんですか」「身体というより……家から、写真を持ってきたんです。あの子が、見たいと言ったから」舞台衣装を着て撮った写真だった。公演の宣伝に使うため、事故の前に撮影したものだと、テリィにも分かった。その写真を、彼女は家に置いていたらしい。「最初は、よく撮れていると話していたんですよ。髪のところが、気に入っているって」夫人は包みを抱き直した。「でも、急に、しまってと言って……」中から、何かが床へ落ちる音がした。続いて、看護婦の声が聞こえた。夫人が扉へ手を掛けた。テリィも、そのすぐ後ろに立った。「いや……もう、いやなの!」スザナの声だった。扉が開くと、彼女はベッドの上で顔を覆っていた。床には、机の上にあったはずの小さな鏡が落ちている。看護婦がそれを拾い、離れた場所へ置いた。スザナは泣いていた。「スザナ、写真は、もうしまったわ」母親が近づくと、彼女は首を振った。「そうじゃない……そうじゃないのよ!」テリィは入口で止まった。スザナはまだ、彼に気づいていなかった。「私だったのに……」濡れた目が、母親を見た。「あの写真、私だったでしょう。あれ、少し前の私なのよ」夫人は頷いた。「ええ。そうよ」「同じ顔なのに……鏡を見ても、同じ顔なのに」彼女の手が、強く握られる。スザナは布団を見つめ、何度も首を振った。「こんなの、私じゃない。私は、あんなふうに立っていたのよ。この間まで、あそこに……」息が詰まり、言葉が途切れた。母親が肩へ手を伸ばす。彼女はその腕をつかんだ。「どうして戻らないの。どうして、戻してくれないの」「スザナ……」「お医者様なら、治してよ。お願い、母さん、頼んで。もう一度、聞いてきて……」母親の顔が歪んだ。何度も夫人自身が、手術のあとで同じことを尋ねていた。それでも、娘の声を聞くと、その返事を口にできないようだった。「何でもするから」スザナは母親の腕を引いた。「ちゃんと食べる。お薬も飲む。痛くても我慢するから。だから……」看護婦がそばへ来た。「スザナさん、腕を少し緩めましょう。お母様が、ここへ座れるように」彼女は首を振った。「お願い、誰か、何とかして……!」助けを求める声だった。けれど、部屋の誰にも、彼女が求めているものを渡せなかった。*母親が椅子へ座ると、スザナはその袖を握ったまま身体を前へ傾けた。泣くたびに肩が大きく揺れ、呼吸が細かく途切れる。看護婦が声を掛け、身体を支えようとした。スザナはその手を拒んだ。「放っておいて!」言ったあと、また母親へ顔を向ける。「でも、行かないで……母さん、行かないで」夫人は何度も頷いていた。「いるわ。ここにいるから」その声も泣いていた。テリィは、入口に立つ自分の足を見た。自分はどこも痛くない。まっすぐ立ってもいられる。それを見られたら、彼女はどう思うのだろう。彼が一歩下がりかけたとき、スザナの目がこちらへ向いた。顔つきが変わった。布団へ手を伸ばし、胸元まで引き寄せる。その動きが急だったので、看護婦が支えた。「テリィ……」彼は顔を上げた。「今、来たところだよ」何の役にも立たない説明だった。スザナは彼を見ていた。涙で濡れた顔を、片手で隠す。「来ないで」彼は足を止めた。「……分かった」テリィはそれ以上近づかず、少し離れた椅子へ座った。泣いている彼女と目が合うが、彼女はすぐに逸らした。「……きれいだったでしょう」小さな声だった。「写真?」母親が聞き返すと、スザナは頷いた。「私、あの衣装、好きだったの。着せてもらったとき……」言葉が震えた。「本当にジュリエットになれると思ったのよ」「よく、似合ってるわよ」その返事で、彼女はさらに泣いた。「でももう、着られない!」彼女の声に、夫人が口を閉じた。「立てないのよ。あんなふうに歩けない。私、何度も練習したのに……!」彼女は布団へ顔を伏せた。「嫌……こんなの、嫌……」声がこもった。「どうして、私だけなの……」テリィは拳を握った。すぐに何か言おうとしたけれど、声が出る前に、そばの看護婦が彼を見た。彼が動こうとしているのを確かめ、静かに手を上げた。少し、待ってほしいという仕草だった。医師が入ってきて、看護婦が短く状況を伝えた。医師はスザナの顔を見て、何かを伝えたが彼女はすぐには応じず、泣く声だけが続いた。テリィは、少しして廊下へ出るよう頼まれた。彼女の身体の状態を確かめるためだった。頷いて立ち上がると、スザナが顔を上げた。「廊下にいる」そう伝えると、彼女は何も答えなかった。扉が閉じると、泣き声がくぐもった。そのほうが、かえって近く感じられた。テリィは壁へ背をつけた。息を吸うと、胸の奥が痛んだ。どれほど待ったのか、時計を見ていなかった。やがて扉が開き、看護婦が出てきた。「今は、少し静かになっています」テリィは顔を上げた。「眠ったんですか」「まだ、目を覚ましています。お母様がそばにいらっしゃいます」彼は病室へ目を向けた。入ってよいか尋ねかけて、口を閉じた。看護婦が、扉を少し閉め直す。「ただ、今日は、お会いするのもつらいようです」テリィは頷いた。「……俺を見ると、思い出すんでしょうか」看護婦はすぐには答えなかった。「今、ご本人にも、うまく説明できないことがあると思います」「今日は、帰ったほうがいいですか」尋ねると、看護婦は彼の顔を見た。「少し、お待ちいただけますか。ご本人に伺ってきます」彼女が中へ戻る。テリィは椅子へ座り直した。もう一度扉が開いたとき、看護婦は静かに伝えた。「今日は、お帰りいただきたいそうです」彼は頷いた。「分かりました」立ち上がり、コートを着る。帰ってよいと言われたことに、ほっとした。その安堵に気づくと、顔を上げられなくなった。看護婦へ礼を言い、廊下を歩き始める。病院の外へ出ると、風が強かった。テリィは襟を立て、通りの端で足を止めた。まだ劇場へ戻れる時間だった。夕方には、変更になった場面の確認がある。行かなければならない。歩き始めると、胸の奥で、先ほどの声が繰り返された。何でもするから。ちゃんと食べるから。痛くても我慢するから。テリィは立ち止まった。通りを走る車輪の音が、大きく近づいた。彼は、道の脇へ寄ったまま、しばらく動けなかった。キャンディに会いたい……!その気持ちが、突然、言葉になった。会って、何も言えなくてもよかった。彼女がここにいて、自分の顔を見てくれたらと思った。テリィは目を閉じかけ、すぐに開いた。病室に残したスザナの姿が浮かびそうだった。自分が会いたい人を思うことさえ、彼女へ申し訳なく感じた。彼はコートのポケットへ手を押し込み、劇場へ向かった。*夜、部屋へ戻ると、机の上に、昨夜使ったペンが残っていた。その隣には、キャンディからの手紙がある。テリィは上着を脱がずに椅子へ座り、両肘を机へついた手紙を汚さないよう脇へ寄せ、顔を伏せる。泣いているスザナの前では、泣かなかった。もう、ここには誰もいない。遠慮ない涙が出た。息を吐こうとすると、喉が詰まった。もう一度吸っても、うまく吐けなかった。彼は片手で目元を押さえた。その下で、また涙がこぼれた。何を悲しんでいるのか、一つにはできなかった。スザナの脚。彼女が着るはずだった衣装。助かった自分。会いたい人が遠くにいること。テリィは顔を伏せたまま、声を出さずに泣いた。机の端には、途中まで開かれたキャンディの手紙があった。

【マカロンさんのひとりごと】ひどい話