
10APR.
Be with you.139
N side「初めまして。時風館の菊池と申します。この度は当旅館をご利用いただきありがとうございます。」「櫻井です。よろしくお願いします。」2人で握手をしている横で、オレもぺこりと頭を下げた。近づいてみたら意外と背が大きいこの男性は、オレ達が泊まるところのフロントスタッフらしい。スーツ姿がビシッと決まっている。「フロントの方が車の送迎もされているんですね。」「いえ、本来ならばドライバーがお迎えに上がる予定だったのですが…」少しだけ、答えにまごつく菊池さん。聞いてはいけない話だったのかと目だけで櫻井さんを見るとそんなオレに気づいた櫻井さんの喉仏が、上下に動いた。気まづいよね。なんか、雰囲気的に。でも、意外にも菊池さんは爽やかな笑顔で答えてくれた。「私が、館内のスタッフに櫻井先生のファンだと申し上げたところ、ドライバーの方から今回の役目を気持ち良く代わってくれました。」「ファン?」「はい。私、昔から櫻井先生の本を読むのが大好きでして。櫻井先生がいらっしゃるとお伺いし、居てもたってもいられなくなりまして。…あ、すみません、長旅でお疲れのところ私事をベラベラと申し上げて…」「いや、ありがたいです。お気になさらず。」ふわっとした。櫻井さんのファンの人に出会えるなんてこの旅行に来た意味がある。心からそう思えた。安心したように息を吐き、またオレと目を合わせてくれた櫻井さんは、恥ずかしそうに片目を崩して微笑んだ。可愛っこんな笑顔、見たことない。櫻井さんもファンの前だとデレるんだ。え、少し鼻の下も伸びてる?その姿がおかしくて、ついクスクスと笑うと、櫻井さんは少しドヤってから、余計に顔をクシャクシャにして喜んでいた。「あ、そちらのお荷物、私がお預かりいたします。」「ありがとうございます。」ひとしきり和んだ空気の後、菊池さんがオレの手元からキャリーケースを受け取り、送迎用の車へと案内してくれた。車中では手馴れた運転だとは思うけど、あまりにも一生懸命に櫻井さんに話しかける菊池さんが危なっかしくて、何度か『菊池さん、前。』と、声を上げてしまった。マジでこの人大丈夫なのかな。櫻井さんのファンなのは良しとしてあまりの勢いに、櫻井さん、少し引いてんじゃん。でも、菊池さんは櫻井さんの小説が心底好きらしく、櫻井さんの表現の仕方や言葉の使い回し、行間や登場人物の心理まで褒めていた。それはね、櫻井さんとしたら気分良いですよね。櫻井さんは『そう、そこは…』なんて楽しそうに創作過程などを伝えているし。……こういうのって頭のいい人達がする会話なんだろうな。学のないオレからしたら、話を聞きながら、ちょっとついていけない部分もあった。櫻井さんからしたら普段からこういう会話をしたいだろうに。オレとは…… 今までどんな会話してたっけ?オムライスのソースはケチャップか、もしくはデミグラスソースなのか。コーヒーはエスプレッソなのかインスタントなのか。あ、最近はオレの好きなハンバーグの話とか…「…え。」思わず声が出た。だって、オレらってこんな話しかしてこなかったのかな。いや、もっと違う話もしてたはずなのに…「カズ?」「あ、すみません。独り言です。」「そう?」「はい。大丈夫です。」ふっ と微笑む櫻井さんに、オレも笑顔で応えた。だって、菊池さんとの会話を止めてしまったから。旅館に着くと、まずはチェックインをするという。手続きみたいのは全部櫻井さんがしてくれるから、オレは横で見ているだけなんだけど。なんていうか、こう…社会に溶け込む櫻井さんを見られるのは、オレとしたらとても貴重だ。だって、オレらは普段ほとんど家にいるから。それに、すごく大人な佇まいというか。櫻井さんからは、余裕のあるイケメンオーラが放たれてる気がする。だってさっきからフロントデスク内で作業してるお姉さんも、ちょっと顔が赤いんだよな。「お部屋は鮎の間でございます。」そう言うお姉さんから鍵を受け取ったのは菊池さんだった。フロントマンて、何もかも手伝ってくれるのかな。キャリーケースもずっと菊池さんの隣に置きっぱなしだし、あれで合ってるんだろうか。「ありがとうございます。お世話になります。」櫻井さんがフロントのお姉さんに声をかけると、見上げたお姉さんが思わずポッと顔を赤らめているのが目に入った。でも、櫻井さんは知ってか知らずかオレの肩に手をかけて『カズ、お待たせ』なんて普段通りにしているし。慣れてんだろうな。女の人からの、ああいう視線に。だから、別に何も気にならないんだろう。オレからもお姉さんにぺこりと頭を下げると『ふぁ』と息を漏らしてた。誰にでもふわふわしてんだ、この人。目の前にこの子現れたら、誰だってふわふわするって。(´º∀º`)ファーw

嘘だと言ってくれ 2/8

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