6JUL.
七夕月 その5 (珈琲屋と雑貨屋)
きっかり一時間でマスターが二階から降りて来た その姿を見たブイ君が階段に向かって走っていく「にゃ~? ・・・ (ゆっくり眠れた?)」足に体をスリスリさせるとマスターが片手で抱き上げて頭を撫でるまあ嬉しそうに目を閉じてご満悦の表情「ああ、久しぶりにぐっすり眠た(笑)」そりゃそうだ(笑)一時間と言っても2階は此処とは時間軸が違うから6時間くらい寝たことになる「マスター、朝飯出来てるぞ」「サンキュー」「随分、スッキリしてるようだな」「たまに此処に寝に来るよ(笑)」かなり無理してんだろうなぁ此奴は俺とは違いケットを育てなきゃいけない休息の場所くらいは提供してやろう「何時でもどうぞ! 朝飯を食ったら手伝ってもらうよ」「分かってるよ ・・・ ブイ、グラスは?」「にゃ~ 、にゃ~ ・・・にゃ~ (あそこで飾を作ってる)」「ほお~ 楽しそうだな 役に立ってる?」「ああ、先生が良いからな(笑)」「あはは ・・・ チビちゃんとグラス 同い年くらいだな(笑) そうだ ・・・ 棕櫚の葉、忘れてないか?」うっかりしてた ・・・ 短冊は用意したが棕櫚の葉を忘れてた ・・・「ちょっと取ってくるか ・・・」どこに?って顔をして「笹に短冊があるのに 棕櫚の葉を忘れるとは(笑)」呆れた顔で笑う「らしくないな ・・・」用意するものが多すぎてちょっと忘れてたそうだ ・・・ 雑貨屋に取ってきてもらうか ・・・「お前が取りに行ったら 準備はどうする? 索餅はどれくらい用意するんだ?」一人じゃ無理だぞと言いたげ子どもに手伝わせたくはないか油を使うのは危ないからな「知り合いに取ってこさせる」「お前の知り合い ・・・ 骨董屋じゃなくて?」知り合いがいるのか?って顔をするけどいるよ(笑)「骨董屋じゃない ・・・人だけどな」「ほお ・・・ 人ねぇ ・・・ ふふ ・・・ もしかして ・・・ 何でもない ・・・ 頼むなら早くした方が良いぞ」意味ありげに笑うマスター此奴も長く生きてるからな 俺が忘れたことを憶えてそうだ(骨董屋も同じだけど)「そうだな お前は早く飯を食え!」「まめやしゃん ・・・ ふきながち と あまのがわ できちゃの!」ちびちゃんが満面の笑みで出来た飾を見せてくれる「上手にできたね ・・・ そうだ ・・・ 七夕のお歌 七夕会で謳ってくれる?」チビちゃんがいるのに歌って貰わないと「もちろんなの!」「じゃあ、お客様の中で ピアノが弾ける方に 伴奏を頼むよ」「まめやしゃん ・・・ ぴあの ・・・ どこにあるの?」「ちびちゃん、あそこにあるのは何かな?」マスターが満面の笑みを浮かべて壁の方を指さす「あれがぴあのなの?」古い時代の物だからちびちゃんには分からなかったかな?かなりキョトンとした顔をした「年代物のね(笑) 調律は出来てるから ちゃんと引けるよ」「この店はね、ない物はないんだよ」此奴の言い回しどっちでも取れる(笑)「にゃ~ にゃ~ (じゃあ、ないんだ ・・)」ほら、そう取る奴もいる「ぶいちゃん ・・・ そこは ぜんぶあるっちぇことだよ」素直なちびちゃんの解釈が正解(笑)「にゃ~ ・・・(そうなの?)」マスターの顔を見てそれから、ちびちゃんを見る「そうだよ(笑) ちびちゃんと遊んでもらって」「にゃ~」そう答えてちびちゃんの足元に「ぶいちゃん かざりができちゃら おうちゃのれんしゅうちようね」ブイ君も仲間入りちびちゃんはブイ君を抱っこして皆の所に戻っていく「ブイ君、夜迄いられるの?」「う~ん ・・・ 何とかするよ(笑)」育ててる人がいるんだろ今頃、仕事中だから連れ出したんだろうから「俺は電話してくる」「棕櫚の葉な(笑)」庭先に出て電話を掛ける(向こうの表示は馴染みの骨董屋になってるはず)「もしも~し、さくら堂」「はい ・・・ え? ・・・ 声が違うけど ・・・」「ふふ ・・・ バレたか 豆屋です」「豆屋さん ・・・ 今日は何時頃に伺えば ・・・」「3時には来て それで ・・・ 頼まれてくれる」「何をですか?」「棕櫚の葉を取ってきて」「しゅろ ・・・ なんです?」「調べて取りに行くこと! 蒼灯の器、上手くいったみたいだな」「ええ、全く見抜けなかったです」「君の馴染みの骨董屋は?」「信じてくれましたよ」「よろしい! 紅玉経由で届けさせるから 忘れずに持ってきて」「はい、ありがとうございます」「じゃあ、頼んだよ!」「豆屋さ ・・・」声が聞こえてたけどそのまま電話を切った棕櫚の葉、見つけてきてねその葉が短冊を吊るす糸の代わりになるんだから<続きます>ピアノを弾きましょうかとコメントを頂きましたのでayumi☆さん「たなばたさま」と「星に願いを」2曲の伴奏をお願いします
In the Summer 10
60.ぴっかぴか
Velvet(ヴェルヴェット)【翔潤】3