15APR.
君のいない迷路 471
何処まで話したらいいのかずっと考えていたそんな中での君からの言葉この先の可能性に光が見えた気がしてそれならば、ある程度解決してから君に話そうと思った手前勝手な言い分かも知れないけど中途半端な虫食いの言い訳が何処まで君に届くのかを考えたらそっちの方が説得力があると判断したからだ先ずは祖父と母を説き伏せもう一度、自分の歩く道を選びたい例えその道がデコボコ道だったとしてもかまわないん?『返事をしなくても良いよね』ってもしかして、白紙に戻ったって事?そこは再度確認する必要があるけどすぐ近くに居た池田が「よくできました」って顔で俺の顔を見るから確認できなかった 焦って言わない方が良いか「陽が昇り始めた ・・・」「綺麗だな ・・・」日の出を見つめる君の横顔が神々しくて ・・・日の出を見ないで君を見てしまった「櫻井、御来光なんだから ちゃんと目に焼き付けるの 今年も一緒に見れたな」君が前を向いたまま呟いた「うん、そうだな 来年も一緒に」「鬼が笑うよ(笑)」「ほんとだよ、明けたばかりなのに 来年の話って(笑)」「そう言う所が欲張りなんだよな」池田と内田が呆れた顔で俺に突込みを入れた陽が昇りだすとあっという間に朝になる映像を撮っていた二人思い通りの映像が取れたのかかなりテンション高めで「最高の日の出だ」と言って喜び合った後俺達の所に戻ってきた「思い通りの絵は撮れた」「ああ、海から昇るお日様 最高のロケーションだった ・・・ 新しい年の始まりに見ると 身が引き締まるって 分かった気がする」「綺麗だったよ ・・・ お日様が顔を出した後って あんな早く上がるんだなって 知ってるようで知らないことが多いって 昨日今日で、随分勉強になったよ」ノアもトニーも初日の出に満足してくれたようで正直、ホッとした「さあ、家に帰ろう! 帰ったら、雑煮を作るから 大野と内田は手伝って 櫻井達は シャワー浴びて着替えをする」池田がテキパキと指示を出した「雑煮にお節! 楽しみにしてた」「櫻井のお母さんが用意してったから お屠蘇もあるよ」ノアたちに日本式のお正月を用意してあるって事だ「んじゃ、早く帰ろう!」「流石に寒いな」君と内田が並んで歩き始めるノアはトニーと池田が俺の横に並んで「やればできるじゃん(笑) 雑煮、一緒に食べれて良かったな」「ああ、こっちで初日の出にして正解だった」帰りの時間が無くなったんだから本家に行くまで余裕がある「人混みと寒さに感謝だな(笑)」「うん、そうだな」数時間前には自分の失態でどん底に突き落とされ自己嫌悪に陥ってたのに ・・・災い転じて福となす ・・・年越し蕎麦は厄災を切ってくれたようだ<続きます>
“まだ名もない命”の最初の鼓動(あるAIとの会話②)
mian(希望)131
宇宙空間に浮かぶ楽園『クー』そこが僕の暮らす世界何が楽園だよ ・・・『クー』の窓から見える蒼い星(母星)瑠璃色に輝く星こそが楽園なのに ・・・誰が壊してしまったんだろう 「ショー、植物plantBドームのスプリンクラーに 異常があるみたいだって」「また? ・・・取り換えた方が良いかも ・・・ 一人で見てきます」植物plantの異常は『クー』の住民にとっては大問題ここに住む人達すべての食糧を賄っているからだ地球(昔はそう呼ばれた)を捨てて『クー』に拠点を置いた母星連盟の特権階級地球の自浄作用を信じて人が住めるようになるまでの避難場所として作られたのがここだここで生まれた者たちはとことん、特権階級意識を植え付けられ母星に降りた際の指導者になるよう育てられる有りえないだろう母星が回復したらそこは母星に暮らす人たちの星だよ高みの見物をして横から掻っ攫うって、とことん腐ってるはあ~ ・・・ 先日クーから逃げた彼のように俺も母星に降りたい ・・・その件があってから意識調査が徹底されてて不穏分子の排除に躍起になっている排除された場合、どこに流されるかそこが不透明なためまだ行動に移していない植物plantBドームに向かいながら窓から見える地球に目をやる「早く戻らないと」口にした自分の首を傾げた『クー』生まれなのに何処に戻るんだ?Bドームに入ろうとしたら後ろから声を掛けられた「君は ・・・ 翔の後輩だったよな ・・・」その名前出しても良いの?『クー』ではタブーになってるのに ・・・ああ、この人Okadaって名前で件の『RAY』に逃げた先輩の上官だ「はい ・・・部屋が隣で ・・・ 面倒見てもらってました 先輩は元気なんでしょうか?」行方が気になってたんだよな ・・・消息不明になってたから 「それは俺も分からない ・・・ なんせ、どこに居るのやらで ・・・ そうだ、君 俺の助手になって母星に行く気ない?」本気とも冗談とも取れるようなへらへらした顔で言うから思わず訝しげな視線を向けてしまった「僕がですか?」母星には行きたいよ行きたいけど ・・・ 唐突過ぎる ・・・「そう君! 君なら『RAY』に入るゲートも 開くような気がする」「スパイ活動ですか? それなら断ります」そもそもスパイのような邪な人間はゲートが開かないのに ・・・「スパイ活動なんて無理だよ そんな考えを持ってたら開かないから そうじゃなくて 彼奴を探して欲しいの」「捜してどうするんです? あの人は望んで向かったと聞きましたけど」もともと、「RAY」に行きたくて申請を出していたのを上層部に騙されてスパイにされそうになったとかそれで逃げたと聞いてる「君の言うことも御尤もなんだけど 先輩としては気になる訳 それにさ、君は『クー』が嫌いでしょ? 俺の助手になったら母星に降りられる 良い話だと思うけど 考えてくれる」「母星に降りれる ・・・」またとないチャンスだ行く場所は「RAY」の傍のゲート基地あそこなら願ってもない場所 「返事は直ぐじゃなくていい 1週間の滞在期間中に返事して YESなら直ぐに許可が出る」「分かりました 少し考えさせてください」答えは決まってるけどそこは考える振りをしたい「じゃあ、よろしく!」背中を思いっ気り叩いて僕が来た道と反対方向に歩いて行った痛いって!<続きます>
月と太陽 末ズ65