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  1. なんだかんだ忙しくて更新が全然できていない…ただアブストラクト読んで興味引いた論文があったので読みますAdjuvant Docetaxel and Cyclophosphamide With or Without Epirubicin for Early Breast Cancer: Final Analysis of the Randomized DBCG 07-READ TrialJ Clin Oncol. 2024 Oct 23:JCO2400836. doi: 10.1200/JCO.24.00836. Online ahead of print.ショートサマリーDBCG 07-READ試験は2017年に最初の報告がされています。TOP2A変異がない乳癌患者さんでは無病生存率(DFS), 無遠隔転移再発率(DDFS), 全生存率(OS)で、アンスラサイクリンのベネフィットがないという報告でした。今回10年のフォローアップの経過です。心不全や二次癌についても解析しています。全体集団でエピルビシン+シクロフォスファミド(EC) - ドセタキセル(DTX)はDTX+シクロフォスファミド(TC)に比して、DDFS, DFSで有意に良好であったという結果でした。DDFS:HR0.79 [95% CI, 0.64to 0.98]; P=0.03DFS:HR0.83 [95% CI, 0.69 to 0.99]; P=0.04ただOSには差がありませんでした。心不全についてはEC-Dで2.1%、TCで1.1%でHR2.12 [95% CI, 1.03 to 4.35]; P=0.04と有意にアンスラタキサンの方が多いという結果でした。結語としてはTOP2Aの測定は臨床的な意義はなくて、心不全はアンスラタキサンの方が多かったですが、全体的に心不全は少なかったとしています。イントロダクションです。このREAD試験というのはデンマークからの報告になります。6サイクルのTCと3サイクルずつのEC-DTXを、TOP2A変異がないリンパ節転移陽性、もしくはhigh riskなリンパ節転移陰性で直接比較を行っています。Primary endpointにDFS, secondary endpointにOSや心不全の発生を置いています。5年の報告ではDFS, OSに差がないという報告でした。(DFS HR1.00P=1.00,OSHR1.15; P=0.41)心毒性も晩期に出てくるという背景もあり、今回10年の報告になります。大抵は試験デザインを簡潔にまとめて再掲してくれるのですが、試験デザインは自分で見ろとのこと。適格基準はリンパ節転移陽性、もしくは陰性なら39歳未満、腫瘍径2㎝以上、grade 2 or 3、ER陰性(cut offは10%)、HER2陽性です。TOP2AはHER2と同じようにFISHで評価され、セントロメア17との比較でratio 2.0以下が変異陰性です。そもそもTOP2Aって何かというと、トポイソメラーゼという酵素を作る遺伝子です。トポイソメラーゼはDNAの複製において非常に重要な酵素で、複雑に絡み合ったDNAを切断したり結合したりしてほぐしてくれます。1本切断して結合させるI型と、2本切断して結合させるII型があって、Ⅱ型を阻害するのがアンスラサイクリン系、Ⅰ型を阻害するのがエンハーツにくっついているデルクステカンやイリノテカンです。2008年6月から2012年12年までで7086人の乳癌患者さんのうち5153人でTOP2Aのスクリーニングが行われ、84%がTOP2A変異無しでした。そのうち2012人が今回の試験にエントリーされ、1対1に振り分け。ECは3週間毎で90/600mg/㎡でDTXは3週間毎で100mg/㎡。TCは3週間後とで75/600mg/㎡です。全身状態がやや悪い人はEC 60/500、DTX 75、TC 60/500が許容されていたようです。相対容量強度(RDI)も検討されており、サイクルを重ねるごとにRDIは低下。アンスラタキサンでの6サイクル目は中央値86%で、TCでは6サイクル目で中央値89%でした。HER2陽性も入っていますが、その場合ハーセプチンが併用されています。Flowchartはこんな感じ。さて、今回長期成績の結果です。年齢層は45-59歳あたりの好発年齢が最多です。閉経前と後は半々ずつ。リンパ節転移はなしが45%、ありが55%。腫瘍径はT1が50%です。ER negativeも3割くらいに入っています。HER2はpositiveが1割。Ki67は14%がcutoffにされており、highが6割です。10年でアンスラタキサンに170(17%)、TCで204(20%)の遠隔転移イベントが発生。非調整HRは0.82でぎりぎりですが有意差を認めました。調整ではHR 0.79で有意差あり(p=0.03)。DFSも非調整では差がなかったですが、調整ありだとHR 0.83(p=0.04)で有意差ありです。ただOSでは調整してもHR 0.88(p=0.25)で有意差なしです。イベントは症例数がほぼ一緒なので実数で比較できますね。遠隔転移がやはり一番差が出ていそうです。サブグループでも同様なんですが、なぜかgradeが高い方がTC favorというよくわからない結果。またTOP2A ratioが1.5未満だとアンスラタキサンfavorです。一応TOP2Aはバイオマーカーになっていないというのが定説ですが、多少はあるのかもしれません。心不全の発症はアンスラタキサンで34例、TCで23例と11例の差がありました。累積の心不全発生はHR 2.12でp=0.04と差がありました。TCで起こった心不全11例のうち6例が死亡しています。アンスラタキサンは23例中5例が死亡。推測ですが死亡に至った心不全は薬剤とは関係なく、アンスラタキサンの心不全は最近では致命的にならなのでは?リスク因子としては肥満があること、コレステロール血症があることが挙がっています。アンスラサイクリンで問題となる二次癌ですが、こちらもアンスラタキサンで67例、TCで79例と、むしろTCで絶対数は多い結果。急性骨髄性白血病はアンスラタキサンで2例、TCで1例でした。ディスカッションですが、TOP2A/CEN17比で1.5未満がアンスラタキサンで有効そうだという結果は、以前報告された試験結果とは異なるとありました。まだアンスラサイクリンのバイオマーカーになるかどうかは不明瞭と。他は心不全リスクは確かに上がるけど確率としては低く、死亡率上昇もないと。結論としてはアンスラタキサンは再発率をより低下させる手法で、心不全は1%の差がありましたとしています。グレード3でアンスラタキサンがいまいちなことについては言及がありませんでした。たまたまかなと思います。サブグループ解析ですし。これみてると化学療法は晩期再発の抑制に関わっているんじゃないかと思ってしまいます。以前LANCETかなんかで出た論文では晩期再発に化学療法関係ないとしていましたが…もしかすると内分泌療法の変革も影響しているかもしれません。ただアンスラタキサン群もTC群も内分泌療法は同じように行われているので、個人的には関係あるかと思います。TCはもちろん悪いレジメンではないですが、やはりアンスラタキサンに取って代わるものではなさそうです。うーん、TCの出番どうするか検討中…

    アンスラタキサンとTCの比較
  2. 健診異常のつけ方が異常
  3. 日本では10月から新型コロナワクチンの定期接種が始まりましたが、世界では流行はエムポックス(サル痘)に移行しています。そもそも世界中で8回目のコロナワクチンを接種している国なんて日本くらいでしょう。とっくにコロナもワクチンも終わっています。アメリカの友人から「まだやってんの」と言われました。「定期接種」に組み込まれたということは流行に関係なく、インフルエンザワクチンと同じようにコロナが終わっても日本だけワクチンがずーっと続きそう日本では第11波だーと大騒ぎでしたが、世界ではWHOが8月半ばにエムポックスで「緊急事態」を宣言していることをご存知でしょうか?日本ではまだ流行しておらず話題にもなりませんが、注視していく必要がありそうです。医師サイトに掲載されていた医療ニュースをシェア↓ーーーーーーーーーーーーーーーーーアフリカから広がるエムポックス、日本ワクチンに注目と期待2024年10月16日 (水)朝日新聞アフリカを中心に感染が広がるエムポックス(サル痘)への対応として、日本のワクチンに注目が集まっている。子どもへの接種は、世界でも日本製しか対応できないためだ。 コンゴ民主共和国の首都キンシャサにある病院のエムポックス病棟。9月末に訪ねると、乳児から11歳までの子どもたち多数がベッドに横たわっていた。全身の発疹に苦しむインガ・ロコレさん(11)は「かゆくて痛くて耐えられない」と話した。 世界保健機関(WHO)は8月半ば、感染拡大を受け「緊急事態」を宣言した。WHOによると、今年に入ってコンゴでは、エムポックス(感染疑いを含む)で計838人が死亡。ユニセフ(国連児童基金)によると、8割以上が子どもだ。 現地で調査をする仏ボルドー大・公衆衛生研究所の平井亜由子医師(感染症・疫学)は「子どもは栄養失調やマラリアとの重複感染で重症化しやすい。現地の医師らは日本のワクチンを待ち望んでいる」と説明する。 9月18日、日本の外務省とコンゴ政府の間でワクチン支援の取り決めがなされた。ユニセフ現地事務所のプロスパー・ジギムデ医師は「感染症が地球規模の問題となる今、ここでエムポックスを食い止めることは日本人にとっても重要だ」と訴える。(キンシャサ=今泉奏)ーーーーーーーーーーーーーーーーーコンゴではエムポックスで838人が死亡。そのうち8割が子ども・・・。栄養状態も衛生状態も日本とは違うため比較はできませんが、子どもにワクチンをという流れになるのでしょうか。エムポックス(サル痘)のワクチンは種痘ワクチンが使われるようです。『天然痘ワクチン「国内で備蓄」  サル痘にも有効 後藤厚労相』患者さんのリクエストで1日1記事は主に新型コロナとワクチンに関する医療ニュースをお届けしています。今日は日刊薬業に掲載されていたニュースをシェア。ーーーー…ameblo.jp『サル痘予防での天然痘ワクチン接種を了承、薬食審公知のエビデンス等を踏まえ審議』患者さんのリクエストで1日1記事は主に新型コロナやワクチン、サル痘に関する医療ニュースをお届けしています。今日は医師サイトに掲載されていた医療ニュースをシェ…ameblo.jp2022年のニュースです。もう2年も前からエムポックス(サル痘)のことが話題になっていました。『サル痘、現時点の基礎知識』患者さんのリクエストで1日1記事は主に新型コロナやワクチンに関する医療ニュースをお届けしています。今日は医師サイトに掲載されていたサル痘に関する記事をシェア…ameblo.jp忘れている人が多いと思いますが、コロナ真っ只中でチラッとサル痘のことが騒がれましたよね。コンゴでは死亡者の8割が子どもということですが、「感染者の大半は症状が軽く、一般人口の間でサル痘が流行する可能性は極めて低い。複数の性的パートナーを持つ人々による性行為など、密接な接触によって感染が広がる可能性は高い」と報道されていました↓『サル痘、まん延の恐れ「極めて低い」』患者さんのリクエストで1日1記事は主に新型コロナやワクチンに関する医療ニュースをお届けしています。今日は医師サイトに掲載されていた医療ニュースをシェア。ー…ameblo.jpコロナが終わっていない(終わらせていない)日本で、エムポックス(サル痘)まで流行したらパニックになるでしょうね注視していく必要がありそうです。また何か情報が入ればお伝えしますね。クリックお願いしますにほんブログ村痔ランキング患者さんのリクエストで復活させた化粧品と発酵素するりの記事はコチラ便通・腸を整えて美肌を目指す 元皮膚科・現役肛門科の女医が教えるキレイ術2020年12月25日に出版し、おかげさまで9刷目となり累計発行部数が3万部を超えるベストセラーになりましたオシリを洗っている全ての人に届けたい。お読み頂けると幸いです。そして2冊目も出版しました↓手に取って頂けると幸いです公式LINEでも情報発信中LINE Add Friendlivelong-diy.com敏感肌の私でもかぶれずに使えてなおかつ美容効果を実感できる自分のために作ったオリジナルコスメはコチラ↓Minori Doctor's Cosmetics powered by BASE美容効果の高い化粧品を使いたいけれどかぶれてしまう、アトピー性皮膚炎などの肌トラブルがある、そんな人でも使える化粧品を開発したいという思いで患者さんと一緒に作り上げた肌にやさしい化粧品です。市販品との違いは濃度と肌にやさしい処方。ドクターズコスメならではの高品質・安全・安心を手にとって感じてみてください。shop.minori-doctor-cosmetics.comドクターズコスメならではの技術がぎっしり詰まってます

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